インフレと円安の関係は? 日本の将来と外貨預金について考えよう
もちろん、金融政策運営は経済・物価・金融環境など全般を見て判断するため、円安だけで日銀が追加利上げや国債買入れ縮小を決定するわけではありません。また、日銀の行動だけでは日米金利差が大幅に縮小する可能性は低く、FRBの利下げ観測が高まるかどうかが重要です。
ドル円相場の歴史~トレンド転換となった過去のイベントを整理する
しかし、ドル円レートは2023年の年平均がほぼ140円、2024年は5月13日までの平均がほぼ150円と、円安による輸入物価の上昇圧力は高まっています。5月8日に植田総裁は「急速かつ一方的な円安、日本経済にマイナスであり望ましくない」と発言し、それまで為替レートへの直接的な評価を避けていた姿勢を変化させました。
S&P500は米国のニューヨーク証券取引所やナスダックに上場する銘柄のうち、主に時価総額の大きい500社の株価をもとに算出される指標です。S&P500が上昇しているということは、米国株は総じて好調だといえます。それに合わせるように、米ドル/円の為替レートも上昇(=円安ドル高)している様子が見てとれます。
第57回「日米金利差とドル円レート」 知るほどなるほどマーケット
図2は日米のインフレ率の推移を示したものです。それぞれ中銀が物価目標を計測するための指標で表示しています。日米ともに、インフレ率は中銀目標の2%を上回っていますが、日銀は持続的に2%から下振れないことへの確信がないために、「緩和的な金融環境を維持する」方針を示しています。足もとのインフレ率は米国とほぼ同程度にもかかわらず、日銀は将来の物価下振れを警戒している点が、円を売りやすい環境を作っているのかもしれません。
日米金利差を背景とした円安ドル高の流れが変化するとしたら、日米中銀の金融政策スタンスにかかっているでしょう。日銀もFRBも「2%の物価目標を持続的に達成できるかどうか自信がない」と示しているのですが、日銀は物価下振れを、FRBは物価上振れを警戒しており、政策方針が真逆です。それがこの金利差に繋がっているのですが、日米の物価動向次第では、金融政策姿勢が変化し金利差が縮小する可能性があります。
ドル円相場 · 始値(5:53) 157.20 · 高値(0:02) 157.94 · 安値(9:03) 157.07.
金利差に影響を与える日銀・FRBの行動の起点は、日米のインフレ動向にあり、ドル円レートはインフレ・データの公表時に大きく動く状況がしばらく続くのではないでしょうか。
日銀は国債買入れオペを減額しましたが、5~10年国債という一部のオペを前回より1割程度減額したにとどまり、国債買入れを継続する方針が大きく転換されたわけではないことが、円安傾向が継続する背景にあると考えられます。
米ドル対円相場(仲値)・ユーロ対円相場(仲値) 一覧表. 米ドル対円相場(仲値)、ユーロ対円相場(仲値)を年度ごとに見ることができます。
日銀の姿勢が変化してきたことで、日本の金利が上昇し、日米金利差がやや縮小しましたが、図1にあるように、そもそも5月13日時点の日米金利差は10年国債利回りで3.5%程度、2年国債利回りで4.5%程度と、大幅に開いているため、日本の金利の小幅な動きではこの金利差に与える影響は軽微です。実際、ドル円レートも一瞬は円高に振れたものの、すぐに円安傾向へ戻ってしまいました。
今年3月に日銀はマイナス金利を解除し、量的・質的金融緩和政策を終了しましたが、金融市場に過度の影響を与えないよう、国債買入れオペはそれまでと同様の規模で継続する方針を決定していました。しかし、その買入れ方針にはやや幅が設けられていたため、その範囲内で国債購入額を減らしたのです。これを受けて5月13日に、10年国債利回りは4月末よりも0.07%高い0.94%へ、2年国債利回りも同じく0.04%高い0.33%へ上昇しました。
円とドルの相関関係と積み立てメリットについて | 株式会社サンエス
しかし、ドル円レートが急変動したゴールデンウイーク期間後に、植田日銀総裁の発言に変化が出てきました。5月8日に植田総裁は「過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面があることは意識しておく必要がある」と発言し、円安で物価が上振れれば金融緩和縮小の可能性を示唆しました。その後、5月13日には冒頭に記載したように、日銀は国債買入れオペを減額しました。
実際、ドル円相場と日米金利差の推移をみると概ね相関していると言え、その相関係数は振れを伴
加えて、2021年の米国経済は好調で、株価が大きく値上がりしました。米国の代表的な株式指数のひとつ、「S&P500」と米ドル/円の為替レートの推移をグラフにまとめると、次のようになります。
ドル/円相場は25日、瞬間的にドル151円台を記録した。今月 ..
このような円安ドル高の主因となっている日米金利差ですが、この拡大した金利差が長期間継続するとの見方の背景には、「緩和的な金融環境を当面継続する」という日銀に対し、FRBは「インフレ率が持続的に2%へ向かっているとの確信がさらに強まるまで利下げをしない」との方針を示していることがあります。このように、日銀は緩和継続で、FRBは高金利維持の方針を示す以上、近い将来に金利差が急速に縮小する可能性は低いため、投資の取引も投機の動きも円売りに傾きやすい環境となっています。
関係を踏まえると、豪ドル円での70円台、ユーロ円での130円台が定着するには日経平均株価が
このような日米金利差拡大による円安ドル高の背景には、「低金利通貨を売って高金利を買う」という、いわゆる「キャリートレード」が積極的に行われていると考えられます。加えて、投機筋が「この先も金利差がなかなか縮小しないので『キャリートレード』による円売りがまだまだ続くだろう」と見込んで、先取りで円売りを仕掛けている可能性も高いと思われます。
ちなみにドル円が上昇すればドルが買われており、円が売られています。 反対に下落すればドルが売られ、円が買われている状態を指します。 ..
もちろん2004年以降も、ドル円レートが日米金利差から離れて動く局面はありました。そのため、最近の「34年ぶりの円安」などと言われる大幅円安には、金利差以外の要因も影響していると思われますが、図1に示した矢印のように、日米金利差とドル円レートの動きはかなり類似しています。日本円のような超低金利の通貨で運用しても利子はほとんど得られませんが、米国ドルのような比較的高い金利の通貨で運用する方が多くの利子を得られるので、通貨の魅力度では「ドル>円」となるのはよく知られています。
円相場 一時1ドル=157円台後半まで値下がり | NHK | 株価・為替
すでに紹介したとおり、2021年は為替レートが円安に進みました。ですから、2021年当初からこの投資信託を購入していれば、為替差益が得られているケースが多いでしょう。
例えば1ドル100円が変化したときには、このような関係です。 1ドル100円→90円 円高・ドル安 1ドル100円→110円 円安・ドル高
たとえば、米国株に投資する米国株ファンドのような投資信託を、1ドル=100円のときに100万円分(1万ドル分)購入したとします(手数料等は考慮しません)。
仮に、この投資信託がまったく値動きしなかったものの、為替レートが円安に進んで1ドル=110円になったとします。このときに売却したら、1万ドル=110万円ですから、10万円の利益が生まれます。逆に、1ドル=90円になったときに売却すると、1万ドル=90万円なので、10万円の損失が生じます。こうした、為替レートの変動によって生まれる利益を為替差益、損失を為替差損といいます。
今後のドル円の動向はどうなるか。為替は株式市場にどのような影響を ..
もっとも、これは今にはじまったことではありません。
実は、株価と為替レートの関係は日本市場にもあります。日本市場でも、円安と株価上昇は同じようなタイミングで起こりがちなのです。日本の株価指数のひとつ、TOPIXと米ドル/円の為替レートの長期的な推移から、その様子が見てとれます。
米ドル/円【USDJPY】:外国為替・リアルタイムFXレート・チャート
2021年の円とドルの為替レートは、大きく円安(ドル高)に動きました。年初は1ドル=103円ほどでしたが、年末には1ドル=115円と、1年間で12円ほども円安になったのです。それだけ、ドルをはじめとする外国の通貨が欲しい人が多くて、円が欲しい人が少なかったことになりますが、投資の世界で考えると、そこまで悪いことではありません。なぜなら、為替レートが円安に進むと、外貨建ての資産の価値が高まるからです。
[PDF] 変質する原油価格とドル相場の関係―原油高とドル高の倶発
早稲田大学法学部卒業。三菱銀行、日興證券を経て、99年FPアソシエイツ&コンサルティングを設立。日興證券勤務時代を併せるとFP歴は約25年、資産運用に強いFPの第一人者として評価が高い。日本FP協会理事、金融庁金融経済教育懇談会委員、同金融審議会専門委員などを歴任する。
日本にとってさらに厳しいことに、ドル高・円安の進行が油価上昇に拍車をか
為替レートが金利差の影響を受けて動くのはよく知られています。特に、2022年初めから続いている円安ドル高局面ではその傾向が顕著となっています。図1は2004年以降のドル円レートと日米金利差の推移を示したものです。日米金利差は、2年物と10年物の国債利回りより算出しています。米国の金利から日本の金利を差し引いているので、相対的に米国金利が高まれば、ドル円レートもドル高に動いていることが見てとれます。なお、2003年以前は、両者はさほど連動してはいませんでした。
あり、為替レートが4月19日に戦後最高の1ドル79円75銭を記録したことが背景と考えられる。 ..
5月13日の午前にこのようなニュースのヘッドラインが、金融専門ニュースを表示するパソコン画面に流れました。その瞬間にドル円レートが40銭ほど円高に振れたものの、すぐに元の水準に戻りました。
ドル円相場の政治経済学: 為替変動にみる日米関係 | 加野 忠 |本 | 通販
為替レートにおいて、2つの通貨はシーソーのような関係があります。先の円とドルの例でいうと、円高とドル安、円安とドル高はセットで起こります。円とドルを比べて、円が欲しい人が多ければ円高(ドル安)、ドルが欲しい人が多ければ円安(ドル高)になります。
ポンドドル下落継続ならドル円100円割れ・為替介入も? | 高島修
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