アメリカの利下げは想定より短命に終わりそうだ。トランプ氏の望みは「ドル安・低金利」だが、減税や関税はインフレを過熱させる。


A:飽くまで筆者の感覚であるが、現時点ではFedを罵るように批判している様子はない。もっとも、トランプ氏が政権を奪還すれば、景気浮揚のために利下げを要求する可能性はあるだろう。本稿における前提に基づけば、「利下げ→日米金利差縮小→ドル安(円高)」であるが、実際にはもっと複雑な考察が必要になりそうだ。ここで米金利のイールドカーブを考えると、利下げ要求はカーブの手前(短期~中期)に下方圧力をかけるものの、長期ゾーンは景気・インフレ再加速が織り込まれ、寧ろ長期金利が上昇する可能性もある。いわゆるトランプ減税による財政収支の悪化懸念も相俟ってイールドカーブがツイスト・スティープ化しても全く不思議ではない。そう考えると「利下げ→日米金利差縮小→ドル安(円高)」という単純な結論には距離を置きたいところだ。前回のトランプ政権時は政策金利が最大でも2.5%であり、利下げ余地は限定的であったが、今回は最大で5%超の利下げ幅があるため、利下げ要求が大きな波乱に繋がり得る。


トランプノミクスでドル高・円安へ!? | 田嶋智太郎の外国為替攻略法

A:CBOの試算によると、移民流入数は2023年と2024年にそれぞれ年間330万人程度となった後、2025年以降は漸減し、当社試算によれば2027年には110万人程度になる。また当社は、トランプ政権が移民抑制に動いた場合、2027年における移民の純流入は+50万人と第一次トランプ政権(2019年:+42万人)と同程度まで低下すると試算している。さて、こうした移民の減少が為替にどういった経路を通じて波及してくるのだろうか?その点、筆者は「安価な労働力」という視点に重きを置いている。現在も続くインフレの根幹にあるのは、人手不足に起因する労働コストの高止まりであるが、それを快方に向かわせているのは移民という労働力である。すなわち移民の流入は労働市場の逼迫を和らげ、賃金上昇圧力を減じ、インフレ沈静化に貢献していると考えられる。したがって、移民制限は「労働供給の減少→賃金上昇→インフレ再加速→引き締め的な金融政策の長期化→米金利上昇→ドル高(円安)」という結果をもたらす可能性が高い。もっとも、筆者はこうした予測に強い自信を持っている訳ではない。というのも、移民は消費(含む住宅)の拡大を通じてインフレ圧力をもたらすとの見方もあるためだ。移民が制限されれば、総需要が減少したり、住宅価格上昇が一服したりするなどして、インフレ圧力が後退する可能性もある。その場合、Fedは利下げを進め、ドル安(円高)が進行する可能性もある。

A:関税は米国内にインフレ圧力をもたらす公算が大きい。前回のトランプ政権時に導入された関税(対中国製品)は人民元の切り下げなどによって相殺されたことから、消費者段階における財価格が顕著に上昇することはなかった。しかしながら、現在掲げられている案(対中関税60%、その他に10%)がそのまま実施された場合、当社の試算によると、米国のインフレ率は+0.1~0.3%pt加速することになる。多くの米国民にとってインフレからの救済が最大の関心事となるなか、インフレを加速させる政策は受け入れ難いものになるだろう。そこでインフレ抑制の観点からトランプ大統領がドル高を選好する可能性がある。こうした前提に基づくと、関税設定は「インフレ加速→引き締め的な金融政策→米金利上昇→ドル高(円安)」という帰結になるのではないか。

トランプ氏勝利で、円安・株高の「トランプ相場」 いつまで続くのか

A:これに対して共通の見方はない。筆者は6月下旬に米国出張の機会を得たため、現地エコノミストや政治に精通した方々にトランプ大統領の為替志向を尋ねたところ、答えは見事に5分5分であった。インフレを抑制するためにドル高を選好するという人もいれば、サプライチェーン再構築にあたって製造業の立て直しが必要となることからドル安を選好するという人もいた。また「為替?いや株価が全て」であるとの回答もあった。また日本に対しては地政学的な重要性が増していることから、極端な円安・円高に陥らないよう米国が配慮するとの声もあった。

A.:このテーマに関する市場参加者に共通の認識はない。結局は経済政策次第であり、米国経済が他地域に対して相対的に強くなるならドル高、弱くなるならドル安と構えておくべきであろう。なお本稿では議論の発散を防ぐため、「為替は日米金利差と強い相関が続く」という前提を置いて話を進める。また米国の利下げは米金利低下に直結し、日米金利差の縮小を招くとして、「米国の利下げ=ドル安」として取り扱う。

大統領選と為替 トランプ氏なら円安?いや円高? | 藤代 宏一

逆に、もしも円高が急速に進むのであれば、米経済が悪化するシナリオである。2025年にかけて追加利下げが継続する見通しになる。筆者は、米経済が強いとみているので、それほど物価上昇圧力は弱まらず、米長期金利は依然として各国の長期金利よりも高いとみる。トランプ候補の優勢は、そうした下地もあって、物価上昇圧力を高めて、ドル高基調を継続させると予想する。

一方、ドル円レートが1ドル161円に接近すると、「3度目の介入があるかもしれない」という牽制効果が働くので、161円までのレンジを容易には抜けないだろう。秋(7~11月)くらいにかけて1ドル155~162円程度の相対的に円安水準で推移するとみる。

トランプ狙撃と為替介入 ~ドル円レートはどう動くか?~ | 熊野 英生

一旦は円高方向に向かった流れは意外に早く160円前後まで戻るのではなかろうか。今後は、トランプ候補に注目が集まり、そこでの言動はドル高要因と映るだろう。するとい、円高は進みにくくなると予想される。

トランプ候補の狙撃前には、日本政府の為替介入が実施されたという観測が強まっていた(図表)。7月11日の米消費者物価の発表直後、それから12日の日本時間に入ってからの2つのタイミングで介入観測がある。米物価の前月比の伸び率が予想以上に鈍いという見方は、FRBの早期利下げの開始を想起させる点で、ドル安円高要因である。もしも、そこで為替介入(ドル売り・円買い)が行われていたのならば、円安阻止ではなく、円高促進の取引になる。これは、異例に思える。161円台に進んでいく円安に歯止めをかけるのではなく、そこから円高に反転する流れを後押しする。介入の意図は、なるべく円高方向に押し下げたいというものだ。相場の流れを操作する意味で、スムージング・オペレーションとは違い。為替介入かどうかが疑われる面もある。


ドル強気派は、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利によって勢い付いているが、12月は歴史的にドルにとって不利な月だ。

本当に評価が難しいのは、それらを総合した為替レートへの影響である。トランプ候補自身は、ドル安を求める志向が強い。FRBには、高金利是正を強く求め、パウエル議長にも明示的に圧力をかけることもあり得る。パウエル議長自身も、議会証言などで年内利下げに前向きな姿勢を強調するようになった。9月と12月という利下げ開始の選択肢のうち、9月利下げの方が有力視されるようになっている。11月5日の大統領選挙前に、FRBは利下げを実行し、政治的圧力を緩和させる構えにあると、筆者の目には映る。これは、米株価上昇の要因でもある。2016年のトランプ大統領当選のときには、株式市場で「トランプラリー」が起こった。その再現も、FRBの利下げ観測と相まって、今秋に予想される。

米大統領選挙は共和党のトランプ氏が勝利した。共和党は上院と下院の両方を制し、政権と議会を押さえる「トリプルレッド」となった。

さて、本題はこれで為替レートの動向がどうなるかである。ここの判断は難しい。今後、11月の米大統領選挙まで、「もしもトランプ候補が大統領になれば」というシナリオが市場動向に織り込まれていくことだろう。拡張的な財政運営、再生エネルギー推進の後退、中国との貿易摩擦の深刻化、外国的な孤立主義への傾斜などが意識される。

次期政権が関税引き上げを訴える背景(米国) | 地域・分析レポート

トランプ候補が共和党大会を前に7月13日に狙撃に遭遇した。そこでは、自身の健在ぶりをアピールする姿が放送された。米大統領選挙は、トランプ候補は優勢に傾いていくだろう。その影響がドル円レートにどう作用するかは読み方が難しいが、筆者は拡張的な政策が物価上昇圧力を高め、長期金利を高止まりさせる点でドル高円安の要因だと理解する。

[米国雇用統計] これまでの予想と結果(2016年12月2日発表)

ただ、投資対象として考えた場合、ここからのドル買い円売りはかなりリスクが高い。輸入物価への影響などもあり、財務省など日本の通貨当局は為替介入などで円安を抑えにかかるだろう。トランプ次期大統領が米製造業のためにドル安を志向しており、介入が入りやすくなっているという見方もある。

【NHK】アメリカ大統領選挙でABCテレビは共和党のトランプ前大統領の当選が確実になったと伝えました。日本経済への影響はどんなこと…

ドル円はトランプ氏優勢が報じられた9月終盤からドル高円安が進んだが、選挙戦直前になってハリス氏の巻き返しが報じられたことでいったん調整売りが入った。結局トランプ氏が圧勝したことで再びドル高円安となっている。トランプ氏は前回以上に対外強硬姿勢を強めており、高関税の実施などの可能性が強まる中で、ドル高円安がもう一段続く可能性が高い。

2025 年に始動する第二次トランプ政権(トランプ 2.0)では、減税政策に加え、関

この結果を受けて金融市場ではトランプラリーと呼ばれるドル高米株高が進んでいる。トランプ氏が掲げる減税・規制緩和・高関税などの施策が現実化すると、米国内での物価上昇が見込まれ、利下げペースの鈍化などを招いてドル高になるという見方である。2016年の米大統領選でトランプ氏が勝利した際、1カ月ほどで17円超のドル高円安となるなどドル高が進んだこともトランプラリーを支えている。

同時に行われた上下両院の議会選挙でも、トランプ候補を擁した共和党が勝利しまし

1-4のいずれも、5番目のインフレ低下とは相いれない。全ての条件が同じであれば、共和党の政策綱領はインフレ押し上げ策の羅列だ。関税や財政拡大は金利も押し上げ、ドル上昇に寄与するだろう。キャピタル・エコノミクスの副マーケッツエコノミストのジョナス・ゴルターマン氏は、「トランプ氏の問題はドル安を望みつつ、やりたい政策は多かれ少なかれ全てドル高に働くということだ」と指摘。「やりたいことをただ口に出して、自動的に実現するだろうと考えるのは大間違いだ。それが問題の核心だ」と語った。

ドル円レートは、2013年に日銀が異次元緩和を開始したことで、一時1㌦125円まで円安となったが、その後

このような状況で、大統領が具体的に何ができるだろうか。ドルが広く利用され、米国の資産が安全な避難先として扱われているのは、世界の基軸通貨としての地位があるからだ。資本規制は恐らく問題外だろう。政府系ファンドを設立し、ドルを山ほど売る用意をすればうまくいくかもしれない。選挙が終わった段階でトランプ氏が支持する利下げを行うことも有効だろう。

【おはBiz解説】アメリカ大統領選挙 日本経済にどんな影響が? | NHK

グローバリゼーションと自由貿易のデメリットは、今や誰もが認めるところだ。円と人民元は安く見え、ドルは以前よりも高い。従って、トランプ氏の主張を支える材料はたくさんある。だが、為替はゼロサムゲームの連続であるため、価値の切り下げが万能の答えにはなり得ない。米製造業は基盤が既に損なわれている。その回復には、保護関税以上のものが必要だ。

トランプ当選、NY金80ドル安 | 豊島逸夫による金市場解説 | ブログ

関税強化や不法移民対策、1期目に実現した「トランプ減税」の恒久化はいずれも物価上昇(インフレ)を引き起こしやすい。財政出動で経済が過熱すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースは緩やかになると見込まれ、長期金利が上昇。金利の高いドル資産が買われた。

第二次トランプ政権の経済政策は? 過去の言動から見られる傾向。

市場では投票日の11月5日より前から、金利高、ドル高、株高が同時に起きる「トランプ・トレード」が進行。米経済の堅調さもあり、10月初めに3・7%台だった米国10年債利回りは足元で4・4%台まで上昇。ドル円相場は約1カ月で10円以上、円安・ドル高が進んでいた。

11 月 8 日の米大統領選後も、米国景気の拡大期待感が維持されており、金融市場では米国株価の上

米国の製造業空洞化が危機的であることに疑いの余地はない。自由貿易の時代に米製造業は衰退が続いた。1985年までに主に対円で強いドルを維持できなくなり、マンハッタンのプラザホテルに日米など先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁が集まってドルに対する他通貨の上昇を容認する「プラザ合意」が結ばれた。

S&P500の下落局面 大統領選 トランプ氏優勢で上昇したファンドは?

トランプ氏が正しいかどうかという議論は、それほど重要ではない。同氏はドル安を望んでおり、当選すればそれを実現しようとするだろう。「大統領がドルの価値を下げられないというのは、全く信じられない。自国通貨を強くするのは難しいこともあるが、本当に下げようと思えば、いつでも下げられる」と金融市場のベテラン、ケビン・ムーア氏はニュースレターに記した。