第57回「日米金利差とドル円レート」 知るほどなるほどマーケット
2008年9月に発生した金融危機 (リーマンショック) によって米国経済は大きな打撃を受け、マイナス成長に陥りましたが、米国の中央銀行であるFRB (連邦準備制度理事会) が大規模な金融緩和策を進めたことで、2009年6月を景気の谷として景気回復を続けました。
2015年12月以降は、緩やかな利上げで金融緩和は正常化に向かいましたが、トランプ政権が火をつけた米中貿易戦争によって景気に陰りが生じ、2018年に利上げを休止、翌2019年以降は再び利下げ局面に入りました。
米長期金利(米国10年国債利回り)チャート、2021年見通し解説、時系列データ。ドル円や米政策金利とのチャート比較も。
先進国の中では歴史的に金利が高い通貨ですので、金利動向には敏感に反応します。またRBA総裁などの金融当局者や、政府閣僚などから、為替水準に関する発言が比較的多くあり、その内容が市場で注目されます。高金利を背景に投資対象として見られることが多いことから、世界が政治的、経済的に安定している時には豪ドル高になりやすく、反対に混乱すると豪ドル安になりやすい性質があります。
現在は輸出主導型から内需中心の経済へ移行しつつありますが、それでも豊富な天然資源や食料品の輸出は盛んです。したがって、世界的な景気に影響を受けることはもちろん、貿易相手として輸出入ともに第1位の中国の景気に左右されるため、自国の経済指標と同様に中国の経済指標も豪ドル相場に大きく影響します。また資源国通貨の側面もあることから、原油・鉄鉱石・金など資源価格の変動も、豪ドル相場を動かす要因となり、商品市況の動きにも注意する必要があります。
豪ドルは先進国通貨でありながら資源国通貨の側面をあわせ持つ通貨です。資源価格が上昇すると豪ドル相場も上昇する傾向があります。
オーストラリアは歴史的に先進諸国の中ではインフレ率が高くなりがちなことから、金利も他の先進諸国よりも高くなる傾向があります。そのため、世界的に政治・経済が安定している時には金利狙いの資金が集まりやすく、豪ドルも高くなる傾向がある一方、突発的な混乱が生じると、一気に資金が流出して豪ドル安となることもあります。
米ドルやユーロなどと比べると、市場規模が小さいため、投資資金の移動が始まると一方的な動きとなりやすい特性もあります。また値幅も非常に大きく、変動のスピードも速くなることが多いため、余裕をもった投資を心掛けることが必要でしょう。
金利で注目される新興国の、「政策金利」の推移をグラフで紹介するほか、各国の2024年・2025年の政策金利 ..
米国の名目GDP (国内総生産) は約27.4兆米ドルで世界一の規模を誇ります (2023年) 。これは世界の約25%を占め、日本の6倍超です。米ドルは流通量も世界一、投資に関わる情報量も多く、国際分散投資をするうえで外すことのできない通貨と言えるでしょう。
米国はGDPの約7割を個人消費が占め、世界最大の消費大国と言われます。サービス業が堅調で、金融、IT分野は世界をリードし、軍事、製薬業などにも力を持っています。
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[PDF] 図 ドル・ペソレート、政策金利、外貨準備高の推移
オーストラリアは世界第6位の広大な土地 (日本の約20倍) に約2,626万人 (2022年12月) の人々が暮らす国です。19世紀に全土がイギリスの植民地となって以来、主にイギリスからの移民によって人口が拡大しました。現在でも英国連邦に属し、英国のチャールズ3世国王がオーストラリア国王を兼ねていて、英国との親密な関係が維持されています。
先進国でありながら金、鉛、ニッケル、ウラン、亜鉛、鉄鉱石などを産出する天然資源が豊富な国です。そのため新興国の成長によって“資源ブーム”が起こった2003年から2007年頃には、オーストラリア経済も好調で、オーストラリアドル (豪ドル) は金利が高く、投資家の人気を集めました。しかし、新興国経済が減速した2016年以降は、経済成長が伸び悩み、金利も低下傾向でした。
輸出における資源・エネルギーの割合は約50%と非常に高いものの、実は鉱業がオーストラリアのGDPに占める割合は約10%とそれほど高くはありません。GDPの約70%は金融や公益事業、消費関連などのサービス業が占め、オーストラリア経済の主役となっています。移民政策も含め、先進国としては珍しく当面の人口増加が見込まれている点にも注目すべきでしょう。しかしやはり資源・エネルギーの輸出はオーストラリア経済の足元を固めています。その点で今懸念があるとすれば、輸出入ともに相手国として中国が第一位である点です。中国の景気に左右されやすく、今後の米中関係、中露関係の行方や、中国の太平洋への進出によって豪中関係に変化があると、大きな悪影響が出る可能性があります。
コロナ禍に対しては、当初は国境封鎖をはじめとする強力な感染対策による封じ込めに成功しましたが、その後、感染が拡大するとともに、第2の都市メルボルンでは累計で世界最長となったロックダウンが実施されるなど経済活動に深刻な悪影響が出ました。ただ、出遅れたワクチン政策が軌道に乗ったことで、2022年10月にはほとんどの規制が解除されました。
2022年2月にロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻を開始して以来、オーストラリアを含む西側諸国はウクライナに物心両面で支援を続けていますが、ロシアに対しては経済制裁を科すなど厳しい姿勢を示しています。この間も中国は西側諸国と異なってロシアとの緊密な関係を維持しています。加えて中国による海洋進出をけん制することも目的のひとつとしてAUKUS (豪、英、米) やQUAD (日、米、豪、印) などの取り組みも始まっています。さらにソロモン諸島と中国が安全保障協定を締結したことをオーストラリアは強く懸念していて、今後豪中関係に大きな変化があれば経済へのネガティブな影響となることが考えられます。
長年高金利が魅力とされてきた豪ドルですが、コロナ禍後の利上げサイクルでは米英などに比べやや慎重な利上げペースとなっていました。中央銀行であるオーストラリア準備銀行 (RBA) は2022年5月に政策金利を0.10%から0.35%に引き上げて利上げを開始し、2023年6月までに4.10%まで引き上げました。その後アメリカの利上げが終了したとの見方が広まる中、しばらく様子見をしたものの2023年11月に再び4.35%へ引き上げました。
2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
一方RBAは2024年6月の理事会まで政策金利を据え置いていますが、「インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」「インフレ率を2~3%の目標範囲に戻す道のりはまだ長い」として、必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明しています。すでに2024年6月に利下げをしたユーロ圏に続いて、アメリカ、英国など主要国が年内に利下げに転じると見られる中、タカ派的な態度を崩していないオーストラリアは、他国との違いが際立つ形となっています。
1990年に京都大学法学部卒業後、三井住友信託銀行に入社。公的資金運用部にて約6年間、受託資産の債券運用・株式運用・資産配分業務に携わった後、総合資金部で自己勘定の運用企画を担当。以後、現在にいたるまで、為替・金利を中心にマーケット分析に従事。
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2020年前半には新型コロナウイルスの感染拡大を受けて景気が急速に悪化しましたが、大規模な財政政策や緊急利下げなどの金融政策が実施され、経済を下支えしました。その後感染が収まって行動規制がなくなったことで経済は急回復しました。
一方で、2022年2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻。両国の戦闘は長期化しています (2024年6月現在) 。米国景気への直接的な影響は限定的ですが、原油高、サプライチェーンの混乱により物価が上昇、高インフレを招きました。また、コロナの影響で働き方に変化がみられたことなどもインフレを押し上げました。
《本資料は執筆者の見解を記したものであり、当社としての見通しとは必ずしも一致しません。本資料のデータは各種の情報源から入手したものですが、正確性、完全性を全面的に保証するものではありません。また、作成時点で入手可能なデータに基づき経済・金融情報を提供するものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようにお願い申し上げます。》
日米の金利差拡大でFXに注目!米ドル/円スワップポイント増加中!
金利差に影響を与える日銀・FRBの行動の起点は、日米のインフレ動向にあり、ドル円レートはインフレ・データの公表時に大きく動く状況がしばらく続くのではないでしょうか。
日米の対照的な金融政策により、22年3月以降、金利差が拡大しています。 日本・米国の金利推移
もちろん、金融政策運営は経済・物価・金融環境など全般を見て判断するため、円安だけで日銀が追加利上げや国債買入れ縮小を決定するわけではありません。また、日銀の行動だけでは日米金利差が大幅に縮小する可能性は低く、FRBの利下げ観測が高まるかどうかが重要です。
三井住友銀、ドル建て定期預金の金利5.3%に引き上げへ 他行は?
豪ドル相場は、BRICsなどの新興国が台頭し、米国経済も好調だった2006年から2007年にかけて、資源輸出が大きく拡大し経常黒字が増加したことに加え、世界経済が安定的に推移したことも手伝って1豪ドル=80円台から107円台まで大きく上昇しました。
2008年9月にリーマンショックが発生すると、投資資金が一気に流出し1豪ドル=101円台から50円台まで急落しました。世界経済の混乱が豪ドル相場に悪影響を与える典型的な動きでした。しかし中国が大型景気対策を講じると、資源輸出の回復期待から豪ドルは反発へ転じ2010年4月には1豪ドル=88円付近まで上昇しました。さらにアベノミクスによる全般的な円安が始まると2013年4月には1豪ドル=105円台まで上昇しました。しかし2015年に入ると、関係の深い中国経済の減速や急激な原油安 (商品市況安) から豪ドル安となり、2016年6月には1豪ドル=72円台まで下落しました。
2020年初めから新型コロナの拡大によるリスク回避の動きが広がると、1豪ドル=80円付近から60円割れまで急落しました。しかし世界的な景気回復が始まると反発、エネルギーを中心とした資源価格の急騰も後押しとなって、1豪ドル=85円台まで反発した後、1豪ドル=80円付近を中心とした値動きとなりました。
2022年に入って、オーストラリアを含む各国の利上げが始まりましたが、日本が異次元緩和政策を維持したことから全般的な円安の動きとなって2022年9月に1豪ドル=98円台まで上昇しました。その後円相場が反発すると2023年に1豪ドル=86円付近まで下落する場面もありましたが、日経平均株価が40,000円乗せまで上昇する中、再び円売りが優勢となって2024年4月、豪ドルは約10年ぶりに100円台に乗せました。この間、日銀が2024年3月に2013年から続けてきた異次元緩和を終了し、約17年ぶりとなる利上げを決定しましたが、植田日銀総裁が「緩和的な金融政策を継続することが大切」などとしたことから円高の動きにはつながりませんでした。しかしRBAが2024年6月に追加利上げを排除しないと表明したことから、1豪ドル=105円後半と約17年ぶりの高値まで上昇しました。
ユーロ圏をはじめ主要国が金利引き下げサイクルに移行する中、オーストラリアが追加利上げをしたり、利下げ開始時期がさらに先送りされたりすると、豪ドルは一段と上昇すると考えられています。
三井住友銀行は米国の長期金利の上昇をうけ、25日から米ドル建ての個人の定期預金の金利 ..
今後の政策金利がどう動くのかを予測するにあたっては、指標ではありませんが、FOMCメンバーの声明もとても重要です。メンバーはFOMCにおける投票権を持っているため、議長以外のメンバーの発言も注目されます。
FOMCの構成メンバーは12名で、うち7名が理事(議長を含む)、残りの5名はアメリカに12地区ある連邦銀行の総裁です(NY連銀総裁は常任で、残り4名は持ち回り)。FOMCのメンバーがどのような発言をするかによって、「そろそろ金利が動くのではないか」と推測されることがあります。
これは、FOMCでいきなり利上げ・利下げを発表すると市場が混乱するため、その準備段階として、少しずつそのスタンスを市場に知らしめる目的もあります。これは市場との対話を大切にするFOMCの考えでもあり、私たちはメンバーの発言を通してFOMCからのメッセージを読み取ることも政策金利を予測する上で大切です。
長期金利(日本国債10年・米国債10年・ドイツ国債10年)の推移
2つ目の指標は、雇用統計です。雇用統計の中でも特に注目される指標が「失業率」です。失業率が上昇するということは景気後退が懸念されるということになり、金利を下げることによって経済活動の活発化を促します。失業率が低水準で推移していれば、雇用の安定が保たれているとみなされ、基本的には金利は据え置きとなります。
市場では、政策金利が発表される前からこのような指標を確認し、今後金利が上がるのか下がるのかを予測しています。
個人向け外貨普通預金の金利(有人店舗限定) ; 米ドル建て個人向け外貨普通預金(有人店舗限定) · 米ドル
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為替ドル円と米10年債金利の複合チャートで相関関係を検証。2024年12月24日までの90日間の相関係数は0.98659.
FOMCが金融政策の方針を決める際に重視している指標があります。
その1つがCPI(消費者物価指数)です。金融政策を行う目的の1つに「物価の安定」がありますが、物価が安定しているかどうかを知る代表的な指標がこのです。CPIが前年比で高い状態がずっと続くと過度な物価上昇(インフレ)を招き、消費者の購買意欲が低下し、企業の売上が減少するといった経済にとってよくない状態に陥るため、政策金利を上げてそれを阻止する動きが強まります。
逆にCPIが前月比でマイナスになり、インフレが抑制されているとみなされると、市場では利下げ期待が高まります。
円高圧力強まるか FOMCで利下げ決定へ 日米金利差は縮小見通し
下図はここ10年の米国の政策金利の推移です。
金融危機(リーマンショック)の後、景気後退に対応するためゼロ近くまで引き下げられていた短期FFレートですが、2018年には経済が回復し、今度はインフレ懸念のため、金利が段階的に引き上げられました。しかし、その後コロナが蔓延、パンデミックの影響で経済が停滞したことにより、再びゼロ金利政策が導入され、さまざまな景気対策も打たれました。その後、景気が回復し、インフレ懸念が再燃したため、金利が引き上げられたという流れです。
このように、金利は景気と密接に関わり、「金利低下」→「景気回復」→「金利上昇」→「景気後退」→「金利低下」…を繰り返しています。
円安加速、1ドル160円台を目指す ~日米金融政策の修正を受けて
米株式市場が買い地合いとなっていたものの、強気心理は続かず、日本株は頭重さが目立った。米国で長期金利が上昇しており、株式は先安感の意識されやすい状況だった。とくにPERの高い銘柄は割高感から売りが警戒された。非鉄金属の三井金属鉱業、小売業のファーストリテイリングなどが軟調な推移。一方、金利上昇により利ざや増が想起される銀行株などは底堅さも見られた。情報・通信業のアクセルマークなどが上昇、また割安なサンデンなども買いの入る場面が見られた。
米ドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドルの過去の為替レートの推移をご覧いただけます。 金利・外国為替一覧
米国の株価が上昇すると日本の株価もそれに影響されて上昇し、下落した場合も同様に米国に追随することが多くあります。これは、「株式というリスク資産から資金が引き上げられるということは、米国だけでなく世界全体のリスク資産から資金が引き上げられるのでは」と懸念されるためです。これをリスクオフといい、リスク資産に投資をしている人は資産が目減りしますので、注意してください。逆に、株式というリスク資産に資金が流れる動きをリスクオンといい、これもまた世界全体へ波及することが大いにあり得ます。
その後、米5年債入札が好調で金利やドルは伸び悩んだ。日米金利差縮小 ..
ここでは、米国と日本を例に、資産運用の効果をご説明します。
以下のグラフは、2002年12月末~2024年3月末までの米国と日本の金利の推移を比較したものです。この期間において、ことが見てとれます。