まるわかり“実質実効為替レート”-“50年ぶりの円安”という根深い問題


ドル円レートで急激な円安への動きが起きる前の21年8月段階では、1ドルはまだ110円である。それでも実質実効レートは71.09というかなりの円安だった(基準の2010年より30%も低い)。ゆえに、この先ドル円レートが110円まで戻ったとしても、円安という事実は変わらない。


わかりやすい用語集 解説:実効為替レート(じっこうかわせれーと)

一般に輸出価格競争力を測る指標として実質実効為替レートが広く用いられるが、輸出価格競争力を産業別に測る「産業別実質実効為替レート」(Industry-specific Real Effective Exchange Rate: I-REER)を公表したのは本研究が初めてである。2015年3月からアジア9カ国の産業別名目・実質実効為替レート、2016年4月からは欧州・北米・オセアニア9カ国を加えた世界18か国の産業別実効為替レートが月次データと日次データの両方で公表された。2018年2月からは、新たに7カ国を含めた世界25カ国のデータを公表する。

日本の物価が上がると、このレートは上昇する。例えば1000円で購入できるドルなどの外貨や外国財の量(つまり円の相対価値)に変わりがないのに、物価が上がると実質実効為替レートは上昇するのである。

【為替】実質実効レートで考える循環的円高 | 吉田恒の為替デイリー

さて、本題の「実質実効為替レート」は、実質為替レートと実効為替レートを組み合わせた概念だ。つまり、円の実質実効為替レートは、「世界のさまざまな通貨に対する円の相対価値に、日本と諸外国の物価を考慮したもの」ということになる。

従って、実質実効為替レートは、必ずしも円の対外的な購買力を表しているわけではない。「円の実力」という呼び名はそれほど的確ではないのである。ましてや、日本経済の実力を意味しているわけではない。

過去の実質実効為替相場との比較だけでは幼稚な分析だ! | 高島修

図2のように、日本の名目実効為替レート(青線)は、2012年まで長期的に上昇基調にあり、その後、現在に至るまで下落が続いている。なお、通常の為替レートとは逆に、実効為替レートの上昇は円高を表している。

例えば円安・ドル高になると米国の商品購入に多くの円が必要になり、円の購買力は低下。円の実質実効為替レートは下落する。中国の物価が上昇すれば中国の商品購入に多くの円が必要になり、円の実質実効為替レートは下落する。

実効為替レート(Effective Exchange Rate)

それではこのレートは一体何を表しているのかというと、日本の対外的な相対物価である。実質実効為替レートが上がれば、外国に比べて日本は物価の高い国になったということになり、下がれば安い国になったということになる。

一方、円の「実効為替レート」(名目実効為替レート)は、世界のさまざまな通貨に対する円の相対価値を意味する。ドルやユーロ、人民元などに対する円の価値が上がっているのか、下がっているのかを表しているのである。


レートの総合的な指標である実質実効為替レート41 の推移をみると、足元では2009年初と同水準と

それに対し、「実質為替レート」は、名目為替レートに両国の物価を考慮したものだ。例えばドル円の実質為替レートは、1ドル=150円といった名目為替レートに日米の物価を考慮したもので、図1のような式で表される。「日本の物価が上がると、実質円高になる」という点に注意されたい。

・ いろいろな通貨に対する為替レートを加重平均したものを実効為替レートといいます ..

通常、「為替レート」(名目為替レート)は2つの通貨の交換比率のことであり、通貨の相対価値を表している。例えば、1ドル=150円が1ドル=75円になれば、円のドルに対する相対価値は2倍になる。

賃金の伸びの低さや長引く円安が要因。実質実効為替レートとは、主要国の物価上昇率や貿易額といった経済要因を考慮した通貨の総合的な実力を表す。

円の総合力を示す実質実効レートは、6月に過去5年の平均値である5年MA(移動平均線)を2割以上下回った。円の実質実効レートには、5年MAを2割以上下回ると、サイクルボトムを付けるパターンがあった(図表1参照)。その意味では、7月初めに161円まで米ドル高・円安となった動きは、循環的な安値限界圏に達していた可能性がある。

6月10日には黒田東彦日本銀行総裁が「実質実効為替レートがここから先、さらに円安になることはありそうにない」と発言し、注目された。実質実…

実質実効為替レートについて理解するために、まず「為替レート」「実質為替レート」「実効為替レート」という概念から整理していきたい。

[PDF] 円の実質実効為替レートの 歴史的低下の意味を考える

実質実効為替レートの動きを長期で見ると、1995年を円高のピークとして、それ以降は円安方向に動いている。95年といえばバブル崩壊の少し後で、日本経済のピークと考えられる時期である。円の実力もこの頃をピークに、その後は下がり続けている。こうした動きはマクロ経済の短期的な変動の結果ではなく、構造的な流れの結果である。

実質実効為替レート指数はActiveステータスデータであり、CEIC Data ..

2022年2月に、「円の実力」が50年前の水準にまで低下したというニュースが話題になった。昨年から今年(2024年)にかけても、円安が著しく進行したので、円の実力のさらなる低下が度々問題視されている。アベノミクスの金融緩和によってお金がジャブジャブになりインフレ気味になったせいだと批判する人もいる。だが、それは正確な議論とは言えない。俗に円の実力と呼ばれているのは、円の「実質実効為替レート」であり、その下落は日本が「安い国」になったことを示すものだ。なぜ日本は安い国になったのか。日本経済を再興させるためには何が必要なのか。複数回にわけて考えていきたい。連載第1回は、実質実効為替レートの仕組みと下落の要因を探る。

実質実効為替レート(REER)の記事一覧 | Business Insider Japan

このデータベースの最大の特徴は、アジア・欧州・北米・オセアニア諸国を中心に対象国の「産業別の生産者物価指数」を収集し、実質実効為替レートを産業別に構築している点にある。実質実効為替レートは当該国の輸出価格競争力を測る指標として用いられるが、実際には、輸出価格競争力は産業別に異なりうる。たとえば、日本の電気機械産業(例:電子部品)と輸送用機器産業(例:自動車)の競争力が異なることは容易に理解できるだろう。Sato, Shimizu, Shrestha and Zhang (2013) は、産業別実質実効為替レートを用いて日本と韓国の両産業の輸出価格競争力を比較している。

2023年も円安が進んだ年となりそうだ。円は対ドルでは1割以上も値下がりし、実質実効為替レートでみても変動相場制移行後の最安値を更新した。

BISが公表しているのは「実質実効為替レート」(2020年=100)と呼ばれる指標。「ドル・円」など2国間の通貨の交換比率を表す為替相場とは異なり、物価水準や貿易量などを基に通貨ごとの総合的な購買力を測る。

実効為替レートがどのように推移してきたかを見てみよう。 図表1は名目と実質の実効為替レート、そしてドル/円レートである。実効為替レート

前掲した図2のように、円の実質実効為替レート(オレンジの線)は、1995年をピークに下落の一途をたどっている。2022年には1995年の半分ほどになり、1972年の水準に戻った。これは、日本がそれだけ相対的に物価の安い国になったことを意味している。例えば「東京で1000円するランチが、パリでは2500円くらいする」といったようなことを表しているのである。

の 43 通貨を対象とした名目実効為替レートが 1995 年比+25.6%も上昇する

上のグラフは1980年から現在に至る円の実質実効為替レートの推移を示したものだ。この指標は、基準年に比べてどの程度の高さ(低さ)であるかを指数で示している。

為替レートの名目と実質 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア

よく「円安が日本経済を弱くする」というような議論があるが、これは正しくない。なぜなら産業構造の変化など社会の大きな構造変化が根底にあり、その結果が実質実効為替レートの動きにも反映されているからだ。だから、為替レートを動かせば(そうしたことができるとも思えないが)日本経済を好ましい方向にもっていける、というようなものでもない。

対円レートでは、3か国とも総じて通貨高で推移しましたが、実質実効為替レート《用語解 ..

円の実質実効為替レートは、1995年4月に最高値をつけて以降、振れを伴ないながらも、水準を切り下げています。その主な背景は、「失われた30年」とも呼ばれる、バブル崩壊後に続いた低成長やデフレです。また、日銀が2013年に異次元緩和を開始し、2016年にはマイナス金利政策や長短金利操作を導入するなど、デフレ脱却に向けて長期金利を抑え込む政策を採り、内外金利差が開いたこと、さらには、低金利の円で資金を借り、高金利通貨で運用する、「キャリー取引」が活発となったことなども、円安要因となりました。

実質実効為替レート | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas

実質実効為替レートの水準は、このグラフに描かれている1980年以降、最も低い水準となっている。しかも、ドル円レートが1ドル=110円だった2021年8月の段階で見ても同じことが言える。つまり足元の急速なドル円レートの動きと関係なく、円の実力は構造的に非常に低い水準になっている。

【図表3】円の実質実効為替レート(折れ線)の推移と長期平均(太線、20年平均)。 出所:国際決済銀行(BIS)資料より筆者作成

そして多数の通貨の平均で見る実効レートと、物価の動きを考慮に入れた実質レートを組み合わせたものが「実質実効為替レート」である。この指標こそ、円の真の実力や評価を表したものであると考えることができる。