百日咳とは、その名のとおり、100日もの長い間、咳が続く病気です。百日咳菌やパラ百日咳菌によって起きる感染力の強い感染症です。


PT-IgG抗体価が第9病日においても10 EU/mL未満であり, 百日咳IgMとIgA抗体価が上昇しなかったことは, 免疫発達の未熟性を反映するものと思われた。このような抗体産生の遅延を伴う低月齢乳児に対しては, 治療期間が長いエビデンスのある抗菌薬を選択することで, 除菌確率を上昇させるとともに再感染リスクを軽減できる可能性がある。


百日咳ワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳 ..

百日咳菌の除菌には, マクロライド系抗菌薬投与5日間で十分とされており, 百日咳菌の培養検査が陰性化するまでのEM投与期間が平均3.6日間(範囲2~7日)であったという報告がある3)。また, EM14日間とCAM7日間の比較では, 両者の除菌効果は同等とされている4)。本症例はガイドラインに準じてCAMで治療したが, 症状の再燃と菌再分離を認めた。同様のCAM投与後再感染乳児例の報告もあり5), 低月齢乳児ではCAM投与期間が7日間では不十分なのかもしれない。

百日咳は, その毒素によって抗菌薬治療開始後も症状が持続あるいは重症化することがあり, その対策としてワクチンによる予防戦略が有効である。乳児百日咳を予防する手段として, 欧米では妊婦への百日せきワクチン接種が推奨されており, さらに同居家族など乳児に接する人に対するワクチン接種(コクーン戦略)も勧められている。本症例では, 母親と同居家族へのワクチン接種により, 児の発症を予防できた可能性がある。

○治療マクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス、ジスロマックなど)が有効です。 ..

麻疹ウイルスの感染力は非常に強く接触感染、飛沫感染、空気感染があり、潜伏期間は10~12日程度です。
●主な症状
発熱、咳、鼻汁で始まり、4日ほどでいったん解熱しますが、再び高熱と全身に広がる発疹や強い咳が見られるようになります。
●合併症
肺炎、脳炎などが見られることがあります。
●検査
症状による診断に加えて血液検査を加えていきます。
●治療
隔離を必要とします。麻疹に対しての特別な治療はありません。症状に応じた治療となります。解熱した後3日を経過するまでは隔離が必要となります。

本症例の症状再燃と菌再分離の原因が除菌不完全か再感染によるかは不明であるが, 低月齢乳児の百日咳ではガイドラインで推奨されているCAM投与期間の7日間では不十分である可能性がある。

抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック

家族の臨床経過と百日咳関連検査成績をに示す。父は児の発症3週間前から, 祖母は2週間前から咳嗽が持続し, 近医で咳喘息と診断されていた。母と祖父は無症状であった。百日咳の症状があった父と祖母は, 児の診断翌日からCAMが投与された。

百日咳は現行の予防接種で抑制が十分できておらず、局地的な流行が断続的に起きています。重症化のリスクのある新生児での発生報告も途絶えていません。百日咳の流行状況や対策について、まずはポイントをまとめてみました。気になった方は、ぜひ次項からの本文をお読みください。

百日咳(pertussis, whooping cough ..

・百日咳は予防接種の効果が長期間持続しないため、学童や成人での発症が増加している。重症になりやすい乳児への感染も現行の予防接種体制では十分防ぐことができておらず、死亡例も報告されている。

初回入院時に百日咳菌分離とDNA検出は陽性であったが, 退院前には菌分離とDNA検出の再検査を行っていない。再入院時にも陽性であった菌分離とDNA検出は, 第22病日に菌分離は陰性, DNA検出は陽性, 第27病日にはDNA検出も陰性化した。初回入院中のPT-IgG抗体は陰性で推移したが, 再入院時に陽転し, 第35病日には50 EU/mLに達した。百日咳IgM抗体とIgA抗体は, 観察期間を通して陰性であった()。


どんな病気? 百日咳は百日咳菌による急性の気道感染症です。 患者の咳やくしゃみなどのしぶきによって感染します(飛沫・接触感染)。

しかし, 退院後に無呼吸発作の再燃を認め, 第19病日に再入院となった。再入院時も百日咳菌DNA陽性で, 百日咳菌も分離された。CAM再投与で治療を開始したが, 菌分離が報告された第22病日にEM30mg/kg/日の14日間経口投与に変更した。第27病日に痙咳と無呼吸発作の消失をみて退院とした。

百日咳の流行状況について 百日咳が増加傾向にあります(2024 ..

患児は日齢31の女児で, 日齢28(第1病日)からの咳嗽を主訴に受診し, チアノーゼを伴う痙咳と無呼吸発作のため入院した。体温36.6℃, 酸素飽和度99%(室内気), その他理学所見に異常なし。入院当日, 後鼻腔ぬぐい液から百日咳菌(Bordetella pertussis)DNAが検出され, CAM 15mg/kg/日の経口投与を開始した。後日, 同検体から百日咳菌も分離された。入院中, 呼吸補助は要さなかった。無呼吸発作の消失をみて第10病日に退院し, CAMは計8日間投与した。

治療にはマクロライド系の抗生剤(エリスロマイシン、クラリス、ジスロマックなど)が使用されます。 ..

小児喘息は特定のアレルゲン(アレルギーのもと、ハウスダスト、食物など)によるものが多く、中学生頃までに一旦治ります。大人の喘息の好発年齢は40歳と言われていて、不特定のストレス(かぜ、暑さ、精神的ストレス)などがきっかけで、気管支粘膜が腫れてきます。じんましんや花粉症の体質の人は気管支粘膜も敏感であり、喘息、咳喘息になりやすいです。

新生児ではアジスロマイシン(ジスロマック)での治療が推奨されています。

百日咳の治療は, 小児呼吸器感染症診療ガイドライン20171)において, マクロライド系抗菌薬であるエリスロマイシン(erythromycin:EM)14日間, クラリスロマイシン(clarithromycin:CAM)7日間, またはアジスロマイシン(azithromycin:AZM)5日間の投与が推奨されている。2019年11月, われわれは百日咳症例に対するCAM8日間投与後に症状再燃と菌再分離を呈した1か月児を経験した2)

に対してはマクロライド系抗菌薬が第一選択薬とされており、成人に対する治療期間に

百日咳菌(Bordetella pertussis)は、主に呼吸器感染症を起こす小型のグラム陰性桿菌である。ごくまれに菌血症を起こすこともある。類縁の細菌として、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)やBordetella holmesiiがあるが、百日咳菌に比べると百日咳毒素産生がなく、より軽症である場合が多い[1]。

国立感染症研究所 感染症疫学センター・同細菌第二部 2019年7月3日現在(掲載日:2019年9月13日)

A:抗菌薬をのんで治療します。アジスロマイシンやクラリスロマイシンが有効で、決められた期間、抗菌薬を飲めば、他人にうつす危険はなくなります。おとなの場合、アジスロマイシン500 mgを1日目に飲み、以後5日目まで毎日250 mgずつ飲んで治療終了です。ただ、日本の保険診療の規則では、アジスロマイシンは1日500 mgを最大3日間使うことになっています。
抗菌薬は感染力をなくす効果はありますが、咳そのものには効果がありません。百日咳の咳は、百日咳菌が作り出す毒素(PT)によって気道の繊毛上皮が傷つくことで起きます。抗菌薬で百日咳菌が消えても、繊毛上皮はすぐには元に戻りません。咳に対しては、対症療法を行って様子をみるしかありません。

ジスロマックとは ジスロマック(一般名:アジスロマイシン水和物)とは、“マクロライド系抗菌剤”と呼ばれる抗菌薬.

百日咳は1940年代ごろまでは多くの感染者、死亡者を出す疾患であったが、1950年に予防接種が導入され、1968年には全細胞型3種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア、百日咳)の定期接種が開始されて患者数は激減した。しかし、1975年にワクチン接種後の死亡事例があり、百日咳ワクチンによる脳症が原因と考えられたため、一時中止された。数か月後に接種時期を引き上げて再開されたが接種率は低く、1979年には百日咳の報告が年間約13,000例、死亡数が約20例以上と増加してしまった。1981年には副作用の多かった全細胞ワクチン(whole cell vaccination)から日本で研究・開発された無細胞ワクチン(acellular vaccination)に変更され、3種混合ワクチンの接種率は改善し、再び百日咳の発症は減少へと向かった[2]。

予防接種していた場合は咳の症状が軽く済む場合があります。

しかし、2000年以降になってから、百日咳の局地的な流行が散発するようになった。百日咳の予防接種は4~12年で効果が減弱するため、思春期や成人での発症が相対的に増加した影響と考えらえる。最大のアウトブレイクとしては、大学で学生や職員約300人に感染が拡大した事例がある[3]。日本のみならず世界的にも発症年齢が上昇する傾向が見られた。

先ほど赤字で書いた症状は百日咳以外の病気でも起こります。

A:まず、年齢にかかわらず、長引く咳をみたら、百日咳かもしれないと考えることが重要です。その上で、血液検査を行って、百日咳に対する抗体価を調べます。発症早期と回復期に血液検査をして、百日咳の毒素に対する抗体(PT-IgG抗体)が、回復期に2倍以上に上昇していれば、百日咳と診断できます。PT-IgG抗体が90 単位/mL以上の高い値であれば、1回の検査で百日咳と診断できます。
百日咳菌を直接検出する方法(培養やPCR検査)もありますが、予防接種を受けたことのある人では、発症早期を過ぎると検出率が低くなってしまいます。
他に、診断の手がかりになる検査所見として、リンパ球優位の白血球増加(リンパ球数が2万/μLを超える)があります。胸部X線は、他の細菌の合併感染で肺炎を起こせば、胸部X線で肺炎像がみられますが、百日咳だけなら胸部X線では異常がみられません。

・百日咳ってどんな病気?

百日咳の増加に伴い、リスクの高い乳児の重症例が報告されている。東京都立小児総合医療センターの2010年3月~2018年11月の百日咳のデータ集計によると、百日咳患者131例中73例が入院症例で、重症が43例(年齢中央値3か月)、死亡が3例であった[4]。

従って、百日咳は症状だけで診断をつけるのは難しい病気です。

ヒトヘルペスウイルスが主な病原体です。
●主な症状
ほぼ1歳までに感染します。39度を超える高熱が3~4日間続き、解熱した後に顔・体に発疹が徐々に見られるようになります。
●合併症
下痢や熱性けいれん、脳炎・脳症を伴うことがあります。
●検査
迅速検査や他の特別な検査も特にありません。症状や経過から診断します。
●治療
特に治療を必要ありません。発熱に対して解熱剤を必要な時に使いましょう。

・県外で百日咳が流行

日本でのサーベイランスは、以前は5類小児科定点把握疾患で成人の報告が少なく、届出基準が臨床症状のみでの判断であったことから、百日咳の正確な発生動向を把握することが困難であった。2018年に百日咳は5類全数把握疾患となり、LAMP法など新たな検査が開発されたことを受けて、届出基準も「臨床症状と検査陽性」または「臨床症状と百日咳患者との接触歴」を満たすことに変更され、より広くかつ正確な状況把握ができるようになった。